―予防も改善も、早めの対策を―花粉症の先手必勝法!監修:えの本耳鼻咽喉科医院院長 榎本冬樹"花粉症のジェネリック医薬品
春の花粉飛散量は、花芽が成長する前年夏の気象条件に大きく左右されます。一般に猛暑の夏は花芽が多くできるため、翌年の春の花粉飛散量は多くなるとされています。また、花粉飛散量が少なかった年の翌年は多く、多かった年の翌年は少ないといった傾向があります。2010年の夏は記録的な猛暑となり花芽がよく育ちました。さらに、2010年春の花粉は非常に少なかったことから、2011年春は花粉が多い年に当たると考えられます。 日本気象協会は、2011年春のスギ・ヒノキ花粉(北海道はシラカバ)飛散量は、九州南部と東北地方のごく一部および北海道は例年よりやや少ないと見込んでいるものの、それ以外のほとんどの地域では例年並みか例年より多いとの予測第1報を発表しました(2010年10月15日)。花粉の飛散量が少なかった2010年春との比較ではおよそ2~10倍となり、特に近畿地方の一部や東海地方では、2010年春の10倍以上になる地域もあるとしています。ただし、花粉飛散量が過去最高だった2005年春との比較では50~90%程度となる見込みです。これは2010年夏の日射量が2004年夏よりも少なかったこと、気温が高すぎて2004年夏に比べて花芽の形成が抑えられたことなどが考えられるためです。 毎年、花粉症に悩まされていた人にとっては、例年にも増してつらい季節がやってきそうです。また、これまで花粉症と関係のなかった人も、花粉飛散量の増大をきっかけに発症する可能性も高まるかもしれません。 花粉症は先手必勝!早めの対策で、予防や改善につなげましょう。
もっと知りたい!花粉症情報
>花粉症に効くお米の研究進む


 農林水産省では、農作物や昆虫がもつ機能を医療分野に利用するプロジェクト研究を進めています。その一つが、遺伝子組み換え技術による「スギ花粉症緩和米」の研究開発です。
 スギ花粉がもっているアレルギーの原因となる物質を米の中につくり出し、その米を毎日食べることで花粉症を治療しようというものです。少しずつアレルギー抗原に体を慣れさせて、アレルギー反応が起こりにくくなるように体質を改善する「減感作療法」の一種です。

 現在行われている減感作療法は、定期的にスギ花粉の抗原を皮下注射する方法で、約80%の人に効果があるとされています。この治療法には、まれに起こる副作用や注射の痛み、長期間にわたって何度も通院が必要などのデメリットも少なくありません。

 それに対して、スギ花粉症緩和米は毎日の食事として食べればよく、通院の回数も少なくて済むので、簡単で負担の少ない治療法になると期待されています。
 マウスにスギ花粉症緩和米を与える実験では、症状改善の有効性が確かめられています。今後、安定的な栽培技術の確立とともに、農作物としての安全性や医薬品としての有効性などについての研究が進めば、私たちが毎日食べるお米で花粉症を治療できる日がやってくるかもしれません。

 


>「飛散開始日」の前から花粉は飛んでいる!

 花粉の飛散量を測定する方法として、日本では「ダーラム法」が主流です。ワセリンを塗ったスライドガラス上に、24時間でいくつの花粉が落ちたかを計測します。花粉の飛散量は、ダーラム法で観測された1平方cm当たりの数を基準にしており、多くの地域で次の4ランクで表されています。

・10個未満「少ない」

・10個以上30個未満「やや多い」

・30個以上50個未満「多い」

・50個以上「非常に多い」

(1平方cm当たりの花粉数)


 スギ花粉の飛散開始日とは、花が咲いた日ではなく、「1平方cm当たり、花粉数が2日連続して1個以上になった初日」と定義されています。そのため実際には、飛散開始日より前でも、わずかながら花粉が飛び始めている可能性があります。

 飛散開始日は地域によって異なり、例年、早いところでは1月末に、多くのところでは2月の初めには始まっています。花粉の量が多くなるのは飛散開始から7~10日後くらいで、それから約4週間飛散のピークが続きます。毎年花粉症に悩まされている人は、早めに対策を行いましょう。


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